VR考察ノート

VRについての考察を書いていきます。フルダイブ型VRに向けてどのような改良を行うべきか、現在のVRの課題点等々を考察して行きます。

VR考察ノートNo.10(VRの対象年齢)

はじめに
今回は、VRに対象年齢が付いている理由、何故その年齢に設定されているのかを基礎として、これからのVR技術でそれは改善出来るのか等の考察をしていきます。
今回の話題の中では、VRが危険性のあるものとして扱われるのが多いです。そのため、VRに対して悪いイメージを持ってしまうかも知れませんが、この考察ノートだけを読んでそうは思わないで下さい。
他の様々な記事を読んだ上で、総合的に結論を導き出して頂ければ幸いです。

※考察ノートでは、作者個人の考察、意見ですので、ご参考程度にお願い致します。

 

VRの対象年齢
VRに対象年齢が設けられている理由は子供に対して身体的悪影響を及ぼす可能性があるからだと言われています。
今、現在のVRは視覚を使用したものなので、影響が出るのは大体目に集中する訳です。
VRを体験した人の中では、VR酔いの他に、目に少し違和感を覚えた方などもいらっしゃるのではないでしょうか?
その原因、子供に年齢対象が付けられる詳しい要因について次に触れていきます。

 

目に及ぶ影響
VR映像は、普通の2D映像をレンズを使うことと、動画を2つに分割し、3D映像になるように錯覚させています。そうなると、普通に生活しているよりも目に負担がかかることはよく分かります。
大人の場合は成長が止まっているので、影響は大きくなりにくいのですが、子供の場合、成長期によって目の感覚なども変化していくため、目に負担が大きくかかるとその状態から戻らなくなってしまう危険性があるのです。
その影響の内、大きく取り上げられるのは斜視です。
次はこの斜視について書いていきます。

 

斜視について
斜視は左右の目が違う方向を向いている状態を指します。例えば、真っ直ぐ見ようとした時、右が真ん中を向いていても、左がその他の方向に向いてしまう事が斜視ということです。
これが起きると、左右からの情報を合わせて脳内で立体化させていく訳ですが、その途中で左右の情報からだと立体化させることが困難な状態を作り出す可能性があります。
飛んでくる球を見た時に片方の目だけで見た場合、遠近感が取りづらくなるのは、左右の目で見た時の情報の内、どちらかが欠落してしまっているからです。これと同様に斜視の状態になると、ある情報が片方から欠落している場合、立体視が難しくなり、更に情報の錯乱から視力の悪化に繋がるのです。

 

 f:id:light-VR:20171023004014j:image

VRで引き起こる斜視
斜視があのような状態になるのには、原因ははっきりとしていないそうです。
しかし、VRでそれが起こると想定される理由は何故なのかについては、考察して行けば明らかになります。
少し前にVRがどのようにして立体視を作り上げているのかについて書かせて頂きましたが、VRは左右で錯覚が起きるように映像を見せます。上の画像からも分かりますが、立体視になる場合、左と右の映像は違うものになります。
通常、正面にある物体を見た時、左右の目の距離によって角度は変わります。ですが、VRの場合、映像は決められた角度のものが映し出されます。
VRによって、目は違和感を感じ、決められた角度から見るように目が適応しようとすると考えた時、現実での角度との差から、動こうとするのです。
そのため、現実と仮想空間内での目の映り方の差から斜視になる事があるのではないでしょうか?

 

f:id:light-VR:20171023004052j:image

 瞳孔間距離
瞳孔間距離(以下、IPDと呼ぶ)は左右の黒目(瞳孔)間の距離のことを指します。IPDは子供の時には近く、成長するにつれて、遠くなります。
VRデバイスを使用する時に、VRデバイスのレンズ間の距離は固定されています。よって大人のIPDに合うようになっているため、子供が使用すると快適なVR体験は出来ません。
よって、IPDが適応される年齢に対象年齢が設定されるのです。
これに至っては、海外のVRデバイスの場合、日本人のIPD平均値と差が生まれることがあるため、子供は大きく変化するのですが、大人の場合も快適ではない場合があります。
最近では、上の画像のように、IPDが調整できるVRデバイスも開発されているため、それを実装したデバイスの対象年齢は少し下がる可能性はあると考えられます。

 

f:id:light-VR:20171023004330j:image

 

斜視、IPDの改善
IPDについては、前にも記載した通り、IPDを調整できるデバイスが作られているので、改善は大きく進んでいます。
斜視については、網膜照射型を使用することで改善の可能性があると言われています。この考察内でも取り上げた通り、VRデバイスは左右の目に別々の映像を映す事で錯覚させて、立体視をさせています。それが原因として、角度が固定されているせいで斜視が引き起こるのではないかと考察しました。
網膜照射型は、ディスプレイに映像を映すのではなく、目に直接映像を映す事で作り上げます。
つまり、現実と仮想空間の間で起こる角度の差を出すことがないのです。先程の考察と合わせると、斜視が起こりにくいと考えられます。
網膜照射型はAvegant社のデバイス(上記画像:Avegant light field)が有名です。
MRデバイスですが、興味がある方は下記URLへ
https://www.google.co.jp/amp/www.moguravr.com/avegant-ar/amp/

網膜照射型デバイスの仕組み等については、最後のページにURLを記載しておきます。

 

フルダイブ型の場合
フルダイブ型の場合、斜視やIPDの問題が引き起こるのかについてです。
フルダイブ型が完成した事を仮定として、考察していきます。
斜視が引き起こる原因を角度の固定が問題となっているのだと考えるのであれば、フルダイブ型の場合、まず信号を左右の情報から理解させるのではなく、融合した視覚情報を脳内に送ることで成り立つ為、斜視というものは起こらないと考えられます。
IPDは、身体の計測時に必ず行うようにすればその人にあった距離を仮想空間内にも反映する事は出来るため、問題は起こり得ないものになります。
フルダイブ型まで技術が上がった場合、どちらも問題として扱われることは殆どないと考えられるのです。

 

今回は、VRに対象年齢が設けられている理由について考察させていただきました。
科学的には、子供の成長によって、大人よりも引き起こりやすい影響が関係している事がお分かりになったと思います。
この他にも、ネットから子供を守るための政策などが絡んだ上で対象年齢が設けられていると考えられているそうです。
斜視については、まだ明らかな原因が分かっていないため、考察によって仮定した上で更にどのように改善していくかを書いていきましたが、原因が分かり次第、また斜視について取り上げて書きたいと考えています。
最後までお読み頂き有難うございました。

誤字、脱字等ありましたら、ご連絡お願い致します。
質問やリクエスト等ありましたら、コメント欄に記載して頂ければ、答えられる限り回答させて頂こうと思います。

 

網膜照射型デバイスについてのURL

「Avegant Glyph」
http://businessnewsline.com/news/201601081319190000.html

レーザー技術で網膜照射
http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/mirakoto/design/h_vol5/

「Avegant Glyph」のURLは現在、正しいサイトへ繋がっていないため、近日中に正規URLへ変更します。暫くお待ち下さい。
尚、「レーザー技術で網膜照射」についてのURLは今記載してあるもので正規のものを見ることが出来ます。