VR考察ノート

VRについての考察を書いていきます。フルダイブ型VRに向けてどのような改良を行うべきか、現在のVRの課題点等々を考察して行きます。

VR考察ノートNo.13(ARデバイス/オーグマー)

今回の考察では、ARデバイスについて考察していきます。

VR考察ノートではありますが、考察ノートをARとVRで分けてブログを開設するより、こちらだけを使ったほうが比較的面倒がないので、ご了承頂ければと思います。

SAOの劇場版で登場したARデバイス、オーグマーについて現段階の技術でどこまで可能なのか、またそれら技術を利用することで生まれる利点と難点について考察していきます。最後に、現段階の再現度から、さらに再現度をあげるにはどのような機能、技術がいるのかを考察し、最終的に疑似的なモデルを提案できればと思います。

また、技術や機能等に関しては作者個人で調べた情報を用いるため、若干の最新のデータと異なる点や、おおかたの機能や仕組みで考察を述べる場合がありますので予めご了承下さい。

AR自体の解説については、VR考察ノート劇場化記念をお読みいただければ、ある程度のARについての事は分かるのではないかと思いますので、ご興味ある方は下にあるブログよりお読みください。

 

light-vr.hatenadiary.jp

 

※ 考察ノートでは、作者個人の考察、意見ですので、ご参考程度にお願い致します。

 

 

まず、オーグマーがどのようなデバイスなのかを詳しく見ていきます。

オーグマーはAR型情報端末であり、ソードアート・オンラインの中で出てくる代表格のフルダイブ型VRバイスとは打って変わって、フルダイブ機能の代わりに拡張現実の機能を盛り込んだ端末となっています。

フルダイブ型とは違い、人間が覚醒状態での使用が可能となり、現実世界に仮想の視覚、聴覚、触覚情報を送りこむことが可能といったデバイスです。

(公式サイト:https://sao-movie.net/story/story.html#augma )

 

オーグマーの機能について(下記画像引用元:上記記載のSAO公式サイトより)

https://sao-movie.net/assets201701/img/in/story/augma_img.png

 一つずつ機能が現段階で再現可能かを考察し、難しい場合は代用的に使用できそうな技術を提案し、その差について考察していきます。

 

1.視線検出カメラ搭載ダイレクトプロジェクトシステムについて

視線検出デバイスなので、小型カメラの搭載とアイトラッキングシステム(人がどこをどのように見たのかを測定する)を導入することで再現可能になります。これに関してはVRバイス同様に視線検出をすることによって、自然な映像の移り変わりを実現させ、VR酔い、ここでいうAR酔いの軽減をさせる狙いがあるのではないかと思います。

ユーザが空間に浮かぶ画面を見ている状態で首を振った時、頭の揺れに同期せず、一定の視界の場所に画面が留まり続けると酔いやすいので、画面は同じ場所にあるように見せ、現実のように視界から外れれば見えなくなるなどといった、現実の見え方を再現する工夫は現状のVRでも使用されているので、同様の理由からオーグマーにも搭載されたと考えられます。(製作段階で有識者に突っ込まれないようにしたのかもしれないですね)

よって、視線検出デバイスは現段階でも再現が可能です。

 

 

2.バイタルシェイプドモールドボディについて

あまり詳しくは記載されていないので、名前から考察してみます。

バイタルは体温、脈、呼吸、意識、血圧を指すのですが、上記画像より、発汗・脈センサーは別に存在しているので、ここでいうバイタルはそれを除いた体温、呼吸、血圧を指していると仮定します。シェイプドはshapedとして調子・状態という意味で取り、モールドはmoldとし、型として意味を取るとすれば、バイタル状態計測デバイスのような感じではないでしょうか。

仮にそうだとして、話を進めます。これに関しては考察というより現状でも存在していることが明確に分かっているので、少し触れる程度にさせていただきます。

バイタル状態を計測する理由としては、最近のウェアラブルバイス(apple watch等)では、心拍以外にも体温や血圧などのバイタルを計測出来るようになっています。オーグマーに関してもウェアラブル・マルチデバイスと称されていることからも、日常的な機能として導入されることはごく自然なことであることが分かります。また、小型化が進んで腕時計レベルまで小さくなっているので、現状の段階でもオーグマーレベルのデバイスであれば搭載することは可能だと思われます。

 

 

3.発汗・脈センサー

 これに関しては上記のバイタルシェイプドモールドボディで触れたウェアラブルバイスの中には、脈の計測が可能なものもありますので、それを搭載するだけです。

発汗センサーに関しても同様で、ウェアラブルバイスの中には搭載されているものもあるので、その機能を使用する形で再現ができます。脈や血圧、呼吸、体温等のバイタルデータに関しては、体調によってはデバイスの使用をやめるように勧める等のサービスや、健康診断やバイタルが一定以上に乱れた場合にすぐ緊急連絡が入るようにしたりと色々な活用が思い付きますが、発汗センサーに関してはなぜ搭載されているのか個人的に気になったので、考察していきます。(読み飛ばしても支障はないですので、もしご興味ない方や、知っている方は読み飛ばして頂いても大丈夫です)

 

少し、寄り道のような形にはなりますが、発汗センサーから得られるデータからどんなことが分かるのか考察、調べたものをかみ砕いて解説できればと思います。参考、引用させていただいたサイトに関しましては、URLを明記させていただきますので、深く知りたい方がいらっしゃいましたら、そちらのサイトをご覧いただければと思います。

まず、発汗には大きく二種類のタイプに分けられ、「温熱性発汗」と「精神性発汗」に分けられます。

 

「温熱性発汗」:体温を一定に保つためによる

「精神性発汗」:体温調整に関わらず、感情や情動、精神的ストレスによる

(引用:http://skinos-nagano.co-site.jp/pers/%E7%99%BA%E6%B1%97%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%9B%E3%83%B3.html )

 

 まず、温熱性発汗を発汗センサーによって発汗量を数値データ化したとします。ウェアラブルバイスとして搭載されているわけなので、日常的に使える機能として考えられるのは、発汗量に応じてその人にあった運動や、スポーツを勧めることや、発汗量に応じて危険ラインに入った場合は通知して、ユーザ側が自分の体調を可視化することで、リスク(熱中症等)を最小限に減らした上に、健康的な体を維持できるようなヘルスケアにおける外面的な身体管理を行うことを可能にするのではないかと思われます。

また、精神性発汗も同様に数値化した場合は精神に関わるものが多く、ストレス反応がどのような時に発生するのかを統計することで傾向を知ることや、過剰なストレスによる負荷反応を計測しメンタルヘルスケアへの利用や、ストレス負荷がかかりやすい車や電車等の安全支援を行うことも可能になるのではないかと考えられます。基本的にはウェアラブルバイスはIoTとして確立することからも、これらのヘルスケアは現実的なので、搭載されたのではないでしょうか。

 

 

4.サウンドインジェクションスピーカー

サウンドインジェクションという名前がスピーカーの前についてるわけですが、これに関しても詳細が載っていないのであくまで仮定を決めてからの考察になります。

injectionとは注入という意味があるので、音を入力するという感じになります。

イヤホンやヘッドホンは電気信号を物理振動に変換し、人間の耳に「気導音」をメインとして音を聴かせているのですが、耳に音を入力していると考えれば現状一般的に広く知られているイヤホンやヘッドホンで再現すればいいわけですが、オーグマーの形状を見る限りでは、耳の部分に何かを装着する形にはなっていないので、イヤホンやヘッドホンでは完全な再現とは言えない事が分かります。

それでは、現段階で耳に装着せずに音を聴かせる技術は存在するのでしょうか。

SAOの中ではフルダイブ型があるので脳に電気を流すことで音を聴かせることが出来るのだとすれば、オーグマーもその技術が使用されている可能性がありますが、今回はその仮定は置いておくことにします。

 

耳に装着しないスピーカーとして挙げられるデバイスは「骨伝導スピーカー」です。最近登場したこのデバイスは人が通常聞く「気導音」(空気の振動によって伝わる)ではなく、「骨伝導」(骨の振動によって伝わる)を利用し音を聴かせる仕組みとなっています。このデバイスは骨の振動を起こし、音を発生させるので耳に装着する必要がなく、耳周りを覆うような形状のオーグマーであれば、十分にこの技術を使用することが可能です。よって、脳にダイレクトに音の信号を与えなくても現状の技術で再現する事は可能です。

 

 

5.脳内スキャンセンサー

これに関しては視覚情報を追加するという事をする技術として見ていきます。これで公式の方で取り上げられているものとしては最後のものになりますが、視覚に関しては1~4の技術では取り上げられてなかったので、ここでは上記のように仮定して、話を進めていきます。

脳に信号を送り込んで、今見えてる視覚に情報を上乗せして伝えることが出来るデバイスは現在、存在しているかといえば今のところは半々といったところではないかと思います。人工視覚といった技術が最近は研究されてきており、網膜刺激型・脳刺激型が主な人工視覚のタイプです。

網膜刺激型では、網膜を電極で刺激する事で視覚を作り出す形です。(更に細かく分けると、網膜上/下等々分類されますが、今回の話題に織り交ぜて取り上げると、文章が長くなるので省略させていただきます)

なぜ網膜に電気を流すと視覚情報を得ることが出来るのかというと、視覚ネットワークで最初に電気信号が発生する組織なので、その部分に電気信号を適切な形で入力してあげれば、視覚を得ることが出来る訳です。

脳刺激型では、脳の視覚野といわれる領域(大脳皮質の視覚に関する領域)を電極で刺激することで視覚を作り出すといった形です。網膜刺激と同様で視覚に関する器官、組織で視覚に関する処理をする脳の領域なので、そこに電気信号をうまく送り込めば、視覚を得ることが出来るそうです。具体的に取り上げるとすれば、バイオニック・アイというデバイスが研究されています。

気になった方は、下記URLより

視神経/網膜刺激型:

https://engineer.fabcross.jp/archeive/180907_bionic-eye.html 

上記記事の詳細:

https://www.sciencedaily.com/releases/2018/08/180828172043.htm

 脳刺激型:

https://wired.jp/2012/09/06/bionic-eye/

 

ところで、先ほどまで上げた技術で視覚を作り出すことは可能ですが、これら技術は、電極を接触させないといけないので、手術をすることがほとんどなのだと思います。

オーグマーは侵襲型ではなく、非侵襲型のように見えますし、一般の人が使うには手術を必要とする技術の使用はリスクが高いので、この技術で完全に再現する事は難しいと思われます。(侵襲: 生体を傷つけること/ここでは脳や網膜に電極を付けること)

他の現技術でアプローチすることは可能なのか考察していきます。まず、非侵襲型であること、脳や網膜に電気信号を送り込むという形ではない技術、デバイスであることを前提として考察を進めます。私個人としてすぐに思いついたのは網膜投影技術です。

網膜投影型については過去の考察ブログにて、少しではありますが触れています。

light-vr.hatenadiary.jp

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網膜投影型デバイスにする利点としては、映像を映すディスプレイが必要ないというところです。オーグマーの形からすれば視線検出カメラ搭載ダイレクトプロジェクトシステムのところに加える形で使用すれば視覚を加算することは出来るようになると思います。ただ、これに関しても問題があり、網膜投影型に限らず、他のデバイス(侵襲型を除く)は両眼に送り込むことで立体視を得ることが出来るので、オーグマーのように片方からの投影では不十分です。仮に先端から、映像を両眼に送ることが可能でもどちらかの目に対しては投影が斜めに入るので完全に立体視出来るのか気になるところではあります。恐らくではありますが、ビジュアルにこだわらなければ片方から投影する必要はありませんし、そのような片方からの投影デバイスはないのではないかと思います。

 

前述のように、視覚をオーグマーそのままの形で再現するには現技術では難しいと考えれます。したがって、今後の技術で非侵襲型でありながら、脳に電気信号を送り込める、または網膜に送り込めるようなものが出来ない限りは完全に再現するのは難しいと思われます。

 

 

まとめ

オーグマーの持つ機能を現技術で再現すると下記のようになります。

・視線検出カメラ搭載ダイレクトプロジェクトシステム→アイトラッキングシステム

・バイタルシェイプドモールドボディ→ウェアラブルバイス(小型化必要)

・発汗・脈センサー→ウェアラブルバイス(同様に小型化必要)

サウンドインジェクションスピーカー→骨伝導スピーカー

・脳内スキャンセンサー→脳/網膜/視神経刺激(非侵襲型必要)、網膜投影(形状の変更、もしくは片方から投影可能にするか)

※脳内スキャンが視覚だけでなく、五感やその他諸々の場合に関しては、頭全体を覆わないでスキャン可能にする必要性、また非侵襲型にする必要性等々が挙げられます。また、脳スキャンだけで全体の機能の殆どを補えるので、そこまで行くと未来的すぎるので今回は触れていません。

現在の技術でもある程度ならオーグマーの再現は可能であると今回の考察で分かりました。脳分野のデバイスや技術が現段階だと、まだ発展途上であり、その分野の発展が今後のウェアラブルバイスを含め、フルダイブ型のVRや、今回取り上げたオーグマーなどのAR・MRデバイスの発展に繋がっていくのだと思います。

 

また、オーグマーの周辺機器としてタッチペンがありましたが、それに関してはまた違う機会に触れたいと思っています。もう構想自体はあるのでそのうち書いていく予定です。(ノックバックや触覚等々)

 今回の考察では、オーグマーに関して再現はどこまでできるのかについてでしたが、実際、次世代型携帯端末機としてオーグマーのようなデバイスが開発されたらいいな…なんて構想を日々抱いていたので、今回ブログに書かせていただき、ますます期待が膨らんでいます。考察で挙げた現段階の技術で一度α版のようなものを作ってみたいところです。

 

最期までお読みいただき有難うございました。

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